医系大への羅針盤 医歯薬進学

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Close Up《未来の医療人をつくる場》

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  • 2019.09.10
  • 「医のアート」の授業が 生徒の人間力を鍛える
  • YMS 代表取締役社長
    筒井 俊英(英進館グループ)

    YMSの教育理念は「よき医療人を育成する」こと

    1981年に開校したYMS 代々木メディカル進学舎は、医学部入試を専門とする予備校である。この予備校の特徴は各界で活躍する医師に話を聞いたり、病院見学に行ったりと、数多くのアクティビティが用意されている点にある。「医のアート」と呼ばれる授業がそれで、独創的なカリキュラムは医師を目指す生徒たちに強い意志を植えつける。「医のアート」の授業はなぜ必要なのか、社長の筒井俊英氏に聞いた。

     

    医療人としての教育がすでに始まっている

    JRや複数の地下鉄が交差する代々木は、数多くの予備校が集まる予備校生の街でもある。人通りの多い駅前通りから一本道を入ったところに医学部受験専門の予備校、YMS代々木メディカル進学舎はある。
     

    「YMSの最大の特徴は、2次試験の合格率の高さです」

     

    そう語るのは、YMSが所属する英進館グループの代表取締役社長、筒井俊英氏だ。
    医学部の入学試験には1次試験のペーパーテストに加えて、小論文や面接といった人物評価を重視する2次試験が課されている。一般的に医学部入試では1次試験合格者の中で2次試験に合格するのは半分以下だというが、YMSの生徒の合格率は約7割と驚異的な数字を誇っているのだ。

     

    なぜ、これほどまでに高い合格率を獲得しているのか。その秘密はYMS独自のカリキュラムにある。

     

    YMSでは英語、数学、理科という医学部入試に必要な科目の勉強のほかに、週に1度「医のアート」と名づけられたカリキュラムを実践している。Art(アート)には芸術という意味だけでなく、「人間の本質、教養」といった意味が含まれており、「医のアート」のカリキュラムでは良き医師とは何か、医療人として何をすべきかといった指導が行われている。

     
    具体的には最先端の研究分野で活躍している医師や国際医療の現場で働く医師などを招いて話を聞いたり、病院を見学に行ったり、その他にも海外の医科大学のシンポジウムに参加するといった、実に多彩なアクティビティが用意されている。

     

    これは、YMSが創業以来40年にわたり「よき医療人を育成する」ことを理念に、医師や医療関係者、そして実際に医師となった多くの卒業生と良好な関係を築いてきたからこそできる取り組みである。

     

    もちろん、ただ話を聞いたり見学をしたりするだけではなく、そこから何を感じたか、どんなことを考えたかを生徒同士がディスカッションし、各々がプレゼンテーションを行う。YMSの生徒は受験生でありながらすでに、自らが医師になったときの理想の姿を具体的にイメージできるようになるのだ。その証拠に、「〇〇大学の〇〇先生に師事したい」、「〇〇先生のように発展途上国の医療に貢献したい」など、多くの生徒が具体的な人名を挙げて自らの希望や将来像を語る。つまり、彼らにとっては医学部入学がゴールではなく、その先の「医師」として働く将来をすでに見据えているということだ。

     

    「医のアート」の授業を行う意義について、筒井氏は「理工学部や工学部といった他の理系の学部に比べて、医学部の学生に絶対に必要なものは人間性です」と語る。筒井氏自身、九州大学医学部を卒業し、医師としての勤務経験を持つからこそ、その重要性を誰よりも認識しているのだろう。
    「ほかの理系の学部の受験では、サイエンスの能力があり、ペーパーテストで高得点を取ることが最も重要です。でも、医者だけはどんなに医学の知識や理数系の能力があっても、相手にするのは人間です。患者さんとのコミュニケーション能力ーーどのように共感して、寄り添うか。これは医師にとってとても大切なことです」

     

    患者と良好な人間関係が構築できなければ、適切な治療は行えない。医師が医学知識や技術を存分に発揮するにはコミュニケーション能力が必要であり、加えて素質や教養という人としての力、いわば人間力が欠かせないと筒井氏は言う。医学生が6年間のカリキュラムの中で学ぶべきことを、YMSの生徒たちは受験生の段階ですでに学び始めている。ここにこの予備校の真価はあるのだ。

     


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