医系大への羅針盤 医歯薬進学

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  • 2019.03.22
  • 勤務医不足のために起きている問題を 女性に押し付けるべきではない
  • 緑鐵受験指導ゼミナール 代表
    和田 秀樹(医学博士)

     

    大学が研修医を「戦力」として捉えていることが問題

    ーまず、今回の入試問題が起こった背景についてはどうお考えですか。

    いくつかの背景が考えられます。私が問題だと思うことの一つに、日本では大学が研修医を「戦力」として捉えていることが挙げられます。
    2004年に新しい医師臨床研修制度が導入され、2年間の臨床研修が義務化されました。臨床研修では、研修医一人に医師一人が指導に付きます。そのため研修医が来ると、かえって現場の医師不足や過重労働が起きてしまうことになるはずで、それで大学病院は研修医に来てほしくないと考えてもおかしくない。ところが現実は、この制度の導入後、逆に、「研修医が来なくなった」「そのせいで医療崩壊が起こっている」と、おかしなことを言っている。それは、多くの大学病院で、研修医を研修に来た医者の卵としてではなく、臨床の医師不足を補う戦力、つまり労働力と考えて働かせているからなのです。

     

    ーそれが入試での男女差別とどう繋がってくるのでしょうか。

    研修医を現場の戦力と考えているから、夜勤をさせたり、科によっては24時間いつ呼び出されるかわからないハードな勤務を強いたりするのです。そんな過酷な労働を押し付けられても、男性の研修医は、女性に比べて受け入れる人が多いんですよ。大学の側からすると、扱いやすいのです。一方、女性には無理な労働を押し付けにくい。さらに、女性はたとえば皮膚科のような、一般的にラクだと考えられる科を選ぶ人が多いという傾向もあります。ですから、大学入試の段階で女性を入れたくない、採りたくないという考えがはびこってしまう。本来の趣旨どおり、研修医を指導対象と考えたなら、女性はイヤだという話にはならないはず。こうした背景があまり論じられていないのが気になります。
    これは説明するまでもないことですが、医師として何科を選ぼうが、職業選択の自由として憲法で保障されている権利なので、それを理由に入試で落とすというのは理不尽なことです。
    また、女医さんの体力不足を問題にする論調がありますが、単に日本の勤務医がオーバーワークなだけです。医師に当直の翌日にも勤務させるような無茶を強いているのは日本だけですよ。他の業界で長時間労働をすれば当局に怒られますが、医師の世界は悪い意味で特別視されていて、過重労働が当たり前になっている。これだけ世の中で過労死が問題になり、働き方改革が叫ばれているのに、真逆ですよね。それなのに、医師の間で「女性を合格対象から外す気持ちがわかる」などという論調が出るのはおかしいでしょう。勤務医不足のために起こっている問題を、女性に押し付けているように私には思えます。
    日本の人口あたりの医師の人数は、先進国と言えないほど低い数値です。私は、国が医学部の新設や防衛医科大学校のような医師国家試験受験資格を得られる専修学校の新設を認めて、臨床ができる医師を増やしていくのが根本的な解決策ではないかと考えています。

     

    進む勤務医離れも人手不足に拍車

    ー一般的に医師不足と言われますが、大学病院における勤務医不足が深刻なのは確かなんですね。

    それは大学病院の医師を取り巻く環境の変化にも原因があると思っています。いくつかありますが、例えば製薬会社からの接待などがあった頃のような、いわゆる“美味しい仕事”ではなくなった、ということ。そして、アメリカ流の拝金主義が日本ではびこるようになると、以前のような「大学病院に残るほ

     


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