医系大への羅針盤 医歯薬進学

最新号/定期購読はこちら

MENU

ピックアップ

  • tokusyu01
  • 2019.05.27
  • 医科と歯科の連携は患者に利する。そこを第一に、各科協力して チーム医療に導きたい
  • ダブルライセンス医師が語る

    地方独立行政法人 宮城県立病院機構
    宮城県立がんセンター
    頭頸部内科 診療科長
    山﨑 知子(腫瘍内科医)

     

    医科と歯科、両方の医師免許を持つダブルライセンスの7割強※が、現場では歯科口腔 外科ではなく、医科の各科に所属し、「医師」として働いています。頭頸部内科に所属 する山﨑知子先生も、その一人。医科歯科ダブル資格保持者の立場から、歯科との連 携をどのように見ているのか、宮城県立がんセンターで頭頸部がん患者のために始まっ た連携体制を含め、日頃から感じていらっしゃることをお話しいただきました。
    ※ 「月刊医歯薬進学」2018年3月号 p5掲載の資料3(出典:2012年『日本歯科評論』)より算出

     

    頭頸部がんと医歯連携

    ―まず、ご専門の頭頸部内科とは?

    頭頸部がんと甲状腺がんの薬物療法(化学療法)と化学放射線療法、緩和ケアを主に行う科です。いまは、宮城県立がんセンターという、病床数400弱の、東北で唯一のがんセ ンターに勤務しています。頭頸部がんは、がんの中でも3~4%と稀ではありますが、発見された時には進行していることが多く、約2割の方が胃がんや食道がんなども併発しています。頭頸部がんの中で一番多いのは「口腔がん」です。舌がんや、頬粘膜がん、歯肉がんなどが含まれます。次に多いのが、腫瘍の位置によって上・中・下とある「咽頭がん」です。
    ご存知のように、頭頸部は、顔の造作審美や機能に密接に関連しています。食事や発語など日常生活に密接に関わりますので、治療前からの継続的なリハビリテーションや栄養管理が大切です。私は腫瘍内科医ですが、腫瘍内科医が単独で仕事することはなく、他科・他職種である頭頸部外科医や放射線科医、形成外科医、歯科医、歯科衛生士、薬剤 師、看護師、言語聴覚士、栄養士やソーシャルワーカーなどと密に連携をとりながら患者さんの治療に当たっています。その一つとして、頭頸部がんにかかわらず、患者さんが化学療法の副作用で治療を中断しないようにサポートする「支持療法委員会」などを院内で結成し、積極的に活動しています。

     

    連携は何より患者にメリット

    ―どんな時に歯科との連携が必要なのでしょうか?

    がん治療の4本柱「手術・放射線・化学療 法・緩和ケア」がありますが、どのシーンで も口腔管理は重要です。マンパワーの問題で、 院内だけで口腔管理を行うには限界があるの で、地域の歯科医師会やがん拠点病院どうし で協同し、活動しています。 がん種にかかわらず、化学療法の成否は、 いかに副作用を管理し、有効な薬剤を十分な 期間にわたって使用できるかに尽きます。そ れには、全身管理だけではなく、精神的なサ ポートも重要になってきます。一人一人の患 者さんに丁寧に向き合い、細やかに診察する 必要があります。
    頭頸部がんにおいては、口腔外科で化学療法を施行する施設もあります。がんの薬物療法を十分に学びきれていない歯科医師が化学療法を行うことで、副作用を恐れるあまり、薬剤の不適切な減量や治療を中断する例を目にします。また、現在の治療から、次の治療に移るタイミングの判断に悩まれる例も耳にします。薬剤の不適切な減量、休薬は患者さんのデメリットにつながりますので、早い段階で、がんの薬物療法を専門にしている医師に紹介いただくことが求められます。
    全国的には、頭頸部がんを扱っている腫瘍内科医がまだまだ少なく、口腔外科医の多くは歯科医師が占めています。日本では、歯科医師が頭頸部がんの治療を支えている面があることは否めません。海外の医師にこのことをお話しすると、大変驚かれますが、これが日本の頭頸部がんの薬物療法の現状ですね。

     


    << 続きは「医歯薬進学(6月号)」でご確認いただけます。 >>

    医歯薬進学は、こちらからご購読いただけます。