医系大への羅針盤 医歯薬進学

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  • グラビア2_南淵-02
  • 2019.03.22
  • 大学に必要なのは 「受験生に選ばれている」という意識とフェアであること
  • 昭和大学横浜市北部病院
    循環器センター 教授
    南淵 明宏(心臓外科医)

     

    女性医師は傾聴する力、共感する力に優れている

    ー今回の不正入試事件では、女子受験生の得点が故意に抑制されたことがいちばんの問題となりました。二人のお嬢さんを医学部へ送り出した先生から見て、どうお感じになりましたか。

    私にはすでに医師になっている娘と、医学部5年生の娘がいますが、彼女たちが受験に臨んでいた頃にはすでに、私立の医学部受験で女子が不利であるという話は、いわば「常識」として語られていました。
    今回不正のあった大学の、内部調査を経ての記者会見で、「女子は出産や育児があるので卒業後戦力にならないから」というのが理由だと語られていましたが、この言い訳には呆れるほかありません。しかし外部にはこれを肯定する意見もあり、理解に苦しみます。
    私は臨床の現場で働いていますが、はっきり言って女性医師のデメリットはまったく見当たりません。医師としての資質に問題が無いのはもちろん、概してみんな清潔で、時間は守るし、コミュニケーション能力も高い。特に患者さんの話に傾聴する力、共感する力に優れていて、これは男性医師が苦手としている点でもありますから、代えがたい価値を持っています。つまり、女性医師はすでに現場で欠かせない存在になっているのです。そのように優れた能力を持つ女性医師を、出産や育児の問題に絡めて切り捨てるというのは馬鹿げています。
    男性だって体や心を壊してしまって現場を離脱することもある。男性医師だからずっと健康で働き続けられるかというと、そんなことはないのです。

     

    ーこれは私立に限った問題だと見ていいのでしょうか。

    国公立の医学部は女子への門戸を広く開けているというのは、よく知られているところです。実際、入学生の40%超を女子が占めており、男女比が均等に近いのです。この数字を見るだけで、私立がいかに女子にアンフェアな対応をしているかが分かりますよね。付け加えるならば、国公立のセンター試験には女子の得意科目とされる国語が含まれているという事情もあるかと思いますが、こうなると、なぜ無理して私立へ行かなくてはならないのか、と考える女子受験生が増えるのは当然だと思います。
     

    大学側も「受験生に選ばれている」という認識が欠けている

    ー今回の不正入試事件の背景にあるのは何だとお考えですか。

    入試は、大学が入学する学生を選ぶ機会ですが、同時に、受験生も大学を選んでいるのです。しかし、大学側に「受験生に選ばれている」という認識が欠けていることが問題だと思います。教育機関にとって、「そこで学びたい」と言ってくれる受験生はある意味、カスタマー(消費者)とも言えます。ならば、大学側は「入学」という商品をより魅力的なものにしなければならないはずなのに、実際は女子や多浪生を冷遇して、自身の魅力を下げてしまっている。未来ある受験生に対しては、「正直である」「フェアである」を商品の特性にするべきです。競争を生き抜くにはそうした力が大切になってくるのですから。
    『マネジメント』で名高い経済学者のピーター・ドラッカーが、「組織は常に『自分たちのミッションは何か?』、『それは正しいのか?』を問い続けなければならない」と言っています。一部の私立の医大はそれができていないんですね。自分たちさえよければ社会なんてどうでもいい、なんでしょうね。

    私立大学合格者の裏事情

    ー女子や多浪生への冷遇とは逆に、OBの子息を厚遇している事象も報告されました。

    これについては、私立の医大を弁護するわけではないのですが、大学にも確実に入学し

     


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