医系大への羅針盤 医歯薬進学

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  • 2017.09.22
  • 座右の銘は「艱難汝(かんなんなんじ)を玉(たま)にす」 。 花も嵐も踏み越えて、 ありったけの自分で治療にあたる
  • 使命感をもって一人一人の子どもと向き合う

    どんぐりこども診療所 院長 糸数 智美

     

    生まれ育った宮崎県で、地域密着型の診療所を開院して12年目を迎える糸数智美先生。主に喘息やアトピー性皮膚炎などの慢性疾患に対して、長い目で治療を行う「長期管理」を掲げ、日夜治療にあたっています。3人のお子さんの出産と子育て、そして最愛の息子さんを病気で失うという壮絶な悲しみを乗り越え、小児科医としてますます精力的に活動されている糸数先生に、これまでのキャリアを振り返ってもらいました。

     

    宮崎市内に「完全予約制」の診療所をオープン

    ー 現どんぐりこども診療所は開院から今年で12年目を迎えるそうですね。開院までの経緯を教えていただけますか。

    自分の診療所を開院する前は、ほかの小児クリニックで9年間、雇われ院長をしていました。喘息やアトピー性皮膚炎といった慢性疾患のお子さんに対して、最初の診断から治癒していくまでの成長の過程を見届ける「長期管理」という方法で診療したいという思いが強くあったので、自然とそういった患者さんがクリニックに集まってきていたんです。でも、雇われ院長ではやはり限界があって、自分のやりたいことができない歯がゆさがありました。

    診療所を開院するにあたって、「宮崎の田舎にいるから最新の治療が受けられない」という状況は嫌だなと思ったんです。慢性疾患の治療法は以前に比べると飛躍的に進歩していますが、当時の宮崎ではそれを取り入れている医療機関は少なかった。なぜもっと良い治療法があるのに取り入れないのかーーそんな疑問を感じていたので、開院してからは、自分が納得のいくやり方で診療できるという喜びがありますね。

     

    ー 診療所は完全予約制とのことですが、子どもの病気は急を要することもあるのでは?

    そうですね、昔は喘息の治療といえば、たとえ夜中でも発作が起こった時に診てくれるのが良い医者だと言われていました。でも私が掲げる「長期管理」の診療では、発作が起こっていない時のケアがとても大事です。発作が起こった時だけ処方薬を出して、治まったらそのままというのでは、いつまでも治癒しません。喘息でもアトピーでも、症状が出ていない時や軽い時にしっかりケアをして、重い発作が起こらないようにすることが大切です。在宅時の生活面での注意点やケアのしかたなど、すべて診療時にお教えしているので、1人の患者さんにかかる時間がどうしても長くなってしまいます。ですから、完全予約制にすることで、患者さんの待ち時間をできるだけ短くしてさしあげたいと考えたのです。

     

    ー 「長期管理」で行う治療に関しては、完全予約制のほうが患者さんの負担が軽減されるということですね。

    はい。近年、医療におけるコンプライアンスが注目されていますよね。コンプライアンスとは、簡単にいえば患者さんが医師の指示どおりに薬を飲み、言われたことを守るというものです。最近では、コンプライアンスからもっと進んだ“アドヒアランス”がより重視され始めています。アドヒアランスは治療に患者さん自身が深く関わります。この薬はなぜ飲まなければいけないのか、1日に何回飲めばいいのか、どんな副作用があるのかといった情報を共有して、医師が患者さんと相談しながら決めていきます。どんぐりこども診療所でもアドヒアランスを重視しているので、新患の方の受け入れは少なくなってしまいますが、そのぶん一人一人の患者さんとじっくり向き合うことができます。

     


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