医系大への羅針盤 医歯薬進学

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  • グラビア1板倉-01
  • 2018.10.18
  • 患者さんの幸せを見届けるのが 医者の仕事
  • 数値だけで病気を診るな。人を診よ!
    臨床栄養学の先駆者が語る「健康と幸福」とは?

    医療法人社団IHL
    品川イーストワンメディカルクリニック院長
    板倉 弘重(医学博士)

     

    チョコレートやワインの健康効果に世界に先駆けて着目した板倉弘重先生は、謎を解くのが大好きな少年だったと言います。東京大学医学部に進んだ先生は「リポ蛋白質」のダイナミックな作用に心を奪われ、血管の研究に没頭、わが国の動脈硬化学会を牽引する臨床医に。輝かしいキャリアを積み上げてこられた板倉先生に、「楽しく食べて健康をキープする」長寿研究の背景について伺いました。

     

    謎解き好きの少年

    ーいつから医師を志したのですか?

    受験期からです。眼科の研究者だった伯父の影響か、僕も開業しない医師になって謎に満ちた人体の研究をしたいと考えていました。思えば中学生の頃から、探偵小説やミステリーを読むのが好きでしたね。高校では、非常に良い先生に出会いました。ある学内試験で、それほどできる生徒ではなかった僕の名前が数学のトップに張り出されたのです。その先生は、僕が答案に書いた考え方を気に入って、正解が出ていなくても、解く過程を評価してくれたのですよ。だから今も、考える習慣を大切にしています。

     

    ー医学部受験は、いかがでしたか?

    私立に行く経済的余裕がなかったので、国立の東大を受けて、2度目に入りました。工学部系が理Ⅰ、薬学医学農学系が理Ⅱという募集で、僕は理Ⅱです。一浪したので親は苦労したかもしれませんが、僕自身は勉強し直すことができたし、そんなに辛いという感覚はなかったですね。予備校に入るお金もなかったけれど、日比谷高校には卒業生向けの補習があり、予備校講師が教えに来てくれました。7時間睡眠の生活リズムをつくって勉強するうちに、理詰めで考えれば結論に到達できる数学と物理がますます面白くなりまして…。いつも、もっと難しい問題はないかと探していました。

     

    血球の脂に着目。大学紛争を経てアメリカへ

    ー内科に進んだ経緯は?

     国家試験までは内科も外科も耳鼻科も産婦人科も全領域をやらなければなりませんから、友達とハイキングや海に出かけたりしつつも、勉強は大切にしていました。いろいろな考えを持つ先生方の話を聞くのが好きでしたね。 卒業後は東大に残って、教科書の著者でもあった冲中重雄教授が主任の第三内科に入りました。内科を選んだのは、いくら考えても分からないことだらけだからです。やはり謎解きが好きなんです。

    内科の諸分野を研究して2年後に専門を決める時、体の中で食べ物がどうなって、どう病気に関わるかという代謝研究に興味を持ちました。ある教授に相談したら、「白血球や赤血球の働き、特に血球の膜を構成する脂がよく分からないから研究してほしい」とおっしゃる。そこで、血球の脂に関して、アメリカから持ち帰った新しい研究をしていた肝臓グループに入りました。

    最初は下働きです。試験管を洗う合間に、脂が体の中でどう代謝されていくかを研究しました。先輩方の邪魔にならない夜遅くや土日にやるので、2年ほどは明けても暮れても大学病院でした。その頃に大学紛争が起きて、先生たちが辞めたり会議で留守がちになりまして。それでも患者さんは来ますから、肝臓外来の検査は、僕一人でやることになったのです。

     

    義母の後押しで開業を決意。海外留学で自信をつける

    ーその後、上京なさって歯科医として仕事を始められたのですね。

    そうです。都内にある広尾と目黒の歯科クリニックにトータルで10年ほど勤務し、副医院長を経て、平成17年に独立しました。

     

    ーご自身のクリニックを開業されたのはどのようなきっかけだったのでしょう。

    歯科クリニックを経営していた義母の存在が大きかったです。義母は歯科助手でしたが、クリニックの経営をしたくて、みずから歯科衛生士の資格を取って開業したという珍しいケースです。さらに東京医科歯科大学に出かけて、歯科医師をスカウトしてきたり。資金は自分で働いて貯めて、ゼロからのスタートだったそうです。義母は72歳までそのクリニックで受付兼、経営をして、溌剌と働いていました。その義母が「暁美さん、そろそろ開業したら?」と、背中を押してくれたんです。

    義母は、クリニックを始めるために必要なこと、経営ノウハウを教えてくれました。私自身、10年間の勤務を経て独り立ちする実力はついていると思いましたし、これは流れが来ているのだと受けとめ、開業を決めました。


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