医系大への羅針盤 医歯薬進学

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  • 2018.07.26
  • 睡眠障害の治療の第一人者が語る 「睡眠学」の魅力と、最新事情
  • 使命感をもって最前線に立つ名医

    医療法人社団絹和会
    睡眠総合ケアクリニック代々木 理事長
    井上 雄一(医学博士)

     

    「『四当五落』は昔の話。勉強に励む受験生にとっても睡眠時間の確保は欠かせません」と語る井上雄一先生は、東京・代々木で国内でも珍しい睡眠障害を専門に検査・診断・治療を行うクリニックを開業されています。ひと昔前は「不眠症」という言葉で片づけられていた症状も、現在では、不眠によって多くの合併症を発症することがわかってきました。その最前線で治療にあたり、研究を重ねている井上先生に、「睡眠学」の魅力について伺いました。

     

    精神科の分野で数少ない定量評価ができる「睡眠」

    ー先生が医師を目指したきっかけを教えてください。

     父が医師だったので、なんとなく自分も医師になるものだと子どもの頃から思っていました。父は精神科医、私も精神科医ですから、影響を受けたということですね。

     

    ー医学部に入った時点で精神科医を目指していらしたのですか。

     いえ、精神科一本に決めていたわけではありません。中枢神経の機能に興味があったので、脳に関連した科に進もうと思っていました。最後まで精神科に進むか、それとも神経内科に進もうか、迷いましたね。最終的に精神科を選んだのは、当時、神経疾患は治らない病気が多く、精神疾患のほうが回復治癒率が高いと考えたからです。患者さんの社会復帰の手助けをしたいという、強い思いがありました。

     

    ー先生のご専門は「睡眠」ですが、専門に選んだ理由を教えてください。

     東京医科大学を卒業後、鳥取大学医学部の大学院に進んだのは、精神科に、脳科学の大家であり睡眠学の第一人者だった大熊輝雄先生・挟間秀文先生がいらっしゃったからです。鳥取大学には、国内では数少ない睡眠学の研究室があったのです。

     

     内科や外科などの身体的な疾患を診察・治療する科では、定量評価する指標があります。ところが精神の疾患は、度合いなどを図る物差しというか、数値で指標を表せるものが少ないのです。

     

     しかし、睡眠は脳波で定量的に測ることができます。ひと晩、病院に泊まってもらって、睡眠の検査をすれば、どのぐらいで寝て、どういう睡眠の構造をしているのか…睡眠中に体が動くとか、呼吸が止まるといった現象が起きているか、ということがモニターできるので、比較的定量評価がしやすい。この定量評価ができるという部分が魅力でした。

     

     そういった指標が確立したのは1970年代なんですね。僕がこの世界に入ったのも睡眠学が確立して日が浅い頃で、そこからこの30年の間にどんどん進歩してきました。その変遷をこの目で見ることができたこと、また実際に進歩に関わることができたというのは幸せだったと思っています。

     

    「睡眠学」の進歩には総合的なアプローチが欠かせない

    ーそもそも「睡眠学」とはどのようなものでしょうか。

     「睡眠学」という言葉は、国立精神・神経医療研究センターの名誉総長である高橋清久先生が、科学と社会学、そして医学の3つを併せて命名されたものです。確かに、睡眠や体内時計のメカニズムを研究している人、文化や公衆衛生のような社会的な側面について勉強している人、そして医学について勉強している人と、様々な分野から人が集まっています。とてもしっくりくるネーミングだと思います。

     

     1970年代に日本睡眠学会が発足し、今年は43回目の定期学術集会が開かれます。僕が学会に入ったのは1985年頃だったと思いますが、会員番号は200番台でした。現在の会員数は3500人を超えています。

     


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