医系大への羅針盤 医歯薬進学

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  • 2017.03.02
  • 薬剤師+αで社会に貢献したい
  • ファンドリッチ・みどり(薬剤師)

     

    薬剤師の仕事で留学資金を貯めて、20代で約3年の海外生活を経験したファンドリッ
    チ・みどりさん。語学力を身につけ、生涯の伴侶も見つけて帰国してからは、薬剤師、
    医療系のライター、一男二女の母親という三役をこなしています。グローバル社会を
    生きる一人の女性薬剤師のロールモデルとして、これまでの歩みや仕事への思いを語っ
    ていただきました。

     

    体調管理に苦労した受験生時代

    ――まず、薬剤師になろうと思ったきっかけから教えてください。

     私は宇部市の山奥にある小野というところで育ちました。いわゆる無医村になる前は1つだけ病院があり、母がそこで働いていたので私も小さい頃から出入りして、薬をつくるのを横で見たりしていました。
     高校時代はSF 小説が好きで宇宙工学科への進学も考えましたが、母に薬学部を勧められ、たしかに資格が取れる学部がいいのではと思い直しました。当時4年で資格が取れた薬学部を志望し、男子に頼らず実験できると聞き、神戸女子薬科大学(現:神戸薬科大学)に進学しました。
     薬剤師も2006年度からは医師のように2年の実習後に国家試験を受ける6年制になりましたし、母校も今では共学です。
     

    ――受験勉強は大変でしたか?

     勉強もですが、体調管理がけっこう大変でした。実家が山の上にあるので、毎朝6時台に出て最寄り駅まで自転車で6km、電車で40分、また駅から自転車で2km こがないと高校に着かないのです。帰りは上り坂ですし、もうヘトヘトで。帰宅後すぐ2,3時間寝て、起きて勉強して寝て、朝早く起きる毎日。塾は3年生で週に1回行くのが精いっぱい。こまぎれ睡眠で体調を崩しました。その後、「健康オタク」になったのは、この経験も一因です(笑)。
     

    手に職をつけてから海外へ

    ――過酷な条件にもめげず薬学部に入り、薬剤師になった後は?

     大阪のドラッグストア勤務を経て、病院前にある調剤薬局に転職しました。今でこそ勉強会を行う薬局も多いけれど、当時は調剤するだけだったので、2年もすると行き詰まって…。幼少期からずっと憧れていた海外志向が頭をもたげ、留学を目指すようになりました。
     15時でシフト交代する調剤薬局で働いていたのですが、そのあとの時間も働けるなと思い、2つの職場を掛け持ちして3年ほどで目標額を貯め、25歳で英国の語学学校に入りました。留学中は、英国に1年半、カナダに1年半、日本人の少ないコミュニティーで暮らしました。とにかく英語を勉強して、しゃべれるようになりたかったんです。
     夫との出会いはカナダの教会です。当時は貧乏学生でしたから新聞で見た留学生向けの「1ドルディナー付き英会話レッスン」にひかれて教会に出かけたら、日本語がうまいカナダ人ボランティアと出会い、意気投合。私はカナダに住み続ける気でいましたが、彼が日本企業に就職したので、2000年に帰国し28歳で結婚しました。
     カナダでは代替医療の専門学校に通い、栄養学やアロマセラピーなどを学びました。でも、帰国後は再び調剤薬局に勤めました。東京で新婚生活を立ち上げる収入が必要でしたから。
     

    ――3 年間のブランクがあったわけですよね。仕事面で不安はありませんでしたか?

     免許があれば仕事に就けるので、あまり不安は感じませんでした。薬の名前はよく変わるので覚えるのが大変ですが、調剤の技術はさほど変わるものでもないので。いつでも復職できるという意味では、薬剤師はやはり有利だと思いますね。
     カナダにいた時、北米での薬剤師免許取得も考えました。でも、有資格者でもさらに2年かかる上に、大量の論文を読む必要があり、研修期間も長い。その代わり、免許を取得したらステータスもかなり高いです。薬のスペシャリストとして、医師と同等に働きます。結局、私は帰国することになったので断念しましたが。
     コ・メディカル(医療従事者)がチームとして働く流れは日本にもきています。けれども北米なら薬剤師が当然入るような会合に呼ばれないこともあります。調剤薬局でも、よほどの時以外は医師の処方に口を出すことはありません。
     

    ――北米に比べ、薬剤師の立場が確立されていないということですね?

     薬のスペシャリストでありながら医師の下にいて、役割が今一つ明確でないように思えます。医師の処方箋無しには薬を渡せませんし、ドラッグストアでは効果があまり強くない薬しか扱えず、買う薬を決めてくるお客さんもいて、職能を生かせていないと感じます。
     でも最近は、がんの薬や、在宅医療に関する薬などに特化して、専門性を磨く薬剤師や認定制度が出てきているので、今後変わっていくとは思います。ちなみに、地方には薬学部のない大学も多いので薬剤師の需要が高く、待遇も都市よりいいと聞いています。また、地方ほど高齢化が進み、在宅医療が必要になっているため、いっそう薬剤師の役割が増すのではないでしょうか。
     

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