医系大への羅針盤 医歯薬進学

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  • 2018.05.15
  • 診療室は自分に与えられた舞台。歯科医という役目をロングランでやり通す
  • 自分の強みを模索して進化する人間でありたい

    宝田歯科医院 院長 宝田 恭子(歯科医師)

     

    歯科医師の家に生まれ、東京歯科大学に進学。卒業後、歯科医師として働き、結婚。嫁ぎ先である宝田歯科医院の院長となり、育児や介護もひっくるめて多忙な日々をおくってきた宝田恭子先生。自ら考案した表情筋トレーニングで、アンチエイジングに関する講座や著作を行うなど、メディアでも活躍の場を広げています。患者さんに慕われ、奮闘し続ける宝田先生に、プロフェッショナルとして“進化し続ける秘訣”をうかがいました。

     

    政治家の秘書志望から一転、歯医者へ

    ー歯科医を目指すことになったきっかけを教えてください。

    私の父も歯科医で、実家は歯科医院でしたが、私自身は政治家の秘書とか、通訳になりたいと思っていました(笑)。いつもスーツを着ていてカッコいいじゃないですか。それで、英語をたくさん学べる道をと、留学試験を受けたのですが、落ちてしまったんです。自信をなくして落ち込んでいたときに、父の医院にいた技工士さんがある日、「やってみる?」と話しかけてくれて、総義歯(入れ歯)を何歯か並べさせてくれたんです。「患者さんにセットするときにまた見においで」と言って…。当時の私は、歯科医の娘でありながら、歯医者は怖いところというイメージがあり、「入れ歯をセットするなんて痛そうだなぁ」と気のりしなかったんですが、立ち会ってみました。すると、父も技工士さんも、歯が全部なくなった患者さんも、みんな楽しそうに話をしながら歯がセットされていくのです。びっくりしました。父と技工士さんが連携し、患者さんがリラックスした状態で入れ歯を受け入れている姿を見て、そのとき、「歯科医も面白そうだな」と思いました。
     

    ー歯科医師の道へ舵を切ったのですね。そこからは順調でしたか。

    ところが、父が猛反対だったんです。その頃は女性の歯科医師なんてほとんどいませんでしたし、そもそも「女性は花嫁修業をして3高(高学歴、高収入、高身長)の男性のところにお嫁に行くのが幸せ」という時代でした。でも、私の心は決まっていましたから、「歯科大に行かせてください!」。「だめだ」「そんなの不公平」というやりとりの末に、「浪人はさせられない。落ちたら大学は諦めて働きなさい」と父が命じたのです。そこから猛勉強。国立文系コースから、いきなり理系ですから大変でした。頑張りすぎて体重が10kg も落ちてしまったほどです。おかげで、念願の歯科大に合格することができました。
     

    信頼絶大な義父の患者から認められたい

    ー大学での勤務を経て、ご主人の実家である宝田歯科医院を継がれました。どのような経緯からですか。

    大学卒業後、結婚して娘が生まれてすぐに、実家の父が他界し、その後嫁ぎ先の宝田歯科の院長である義父が倒れたのです。同じく歯科医の夫はすでに別の場所で開業していたので、私が義父を手伝うことになりました。
    宝田歯科は地元で長く続いている医院でしたから、患者さんの義父への信頼は絶大で、嫁である私はなかなか相手にしてもらえませんでした。女性医師自体がほとんどいなかった時代です。患者さんは、白衣を着た私を見ても、「この人、なんなの?」という感じで。
     

    ー院長になってから、歯科医師として何か変化はありましたか?

    院長として、義父と同じ土俵に上がっていては父を超えられませんから、患者さんの気持ちを自分のほうに向けるためにはどうしたらいいか、いつまでも患者さんに来ていただくためにはどうしたらいいかを、自分なりに考えるようになりました。
    義父はなかなか褒めてくれない人でしたが、唯一、私が手描きした院内の案内を見て、「患者さんがあたたかい気持ちになるから、続けなさい」と言ってくれました。これは今でも続けています。そういう自分ならではの“強み”とは何かをずっと意識しています。
     

    ー先生は義歯が専門と伺っています。義歯の患者さんは多いのですか?

    親子2代、3代にわたって通ってくださっている患者さんも多いので、特に高齢者の方からの相談は多いですね。
    義歯が得意だった父もそうですが、義歯をセットする際には、自家製のお新香やごはんを噛んでいただいて噛み具合をチェックするんですよ。せっかく義歯をセットしたのに、家に帰っていざ食事をしたらうまく噛めなかった、ということがないように、時間はかかりますが、必ず行います。噛み具合と合わせて、姿勢もチェックします。正しい姿勢で噛むことは、口腔内の健康にとってとても大切なことです。
     


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