医系大への羅針盤 医歯薬進学

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  • 201706grabia01
  • 2017.05.23
  • 顎関節症の最先端治療に挑む、歯科界における「筋膜」研究の第一人者
  • 「なぜ、治らない?」常に自問自答し、臨床の現場で患者の痛みに寄り添う

    日本歯科大学附属病院総合診療科准教授・顎関節症診療センター長 原 節宏

     

    近年、注目を集める疾病「顎関節症」。さまざまな要因で顎の痛みを覚えるこの疾病の治療に、目覚ましい実績をあげているのが日本歯科大学附属病院総合診療科・顎関節症診療センターです。ここでセンター長を務めるのが日本歯科大学生命歯学部准教授、原節宏先生です。原先生は祖父、父と続く歯科医の家系に生まれ、自らも歯科医を志しました。なぜ顎関節症という、まだあまり理解の進んでいない分野を専攻したのか。歯科医として働く喜びとともに語っていただきました。

     

    まだまだこれからの分野 顎関節症の治療を究めたい

    ー 先生は顎関節症の治療を専門となさっていますね。近年耳にすることが増えましたが、どういう病なのでしょう。

     簡単に言えば、顎に痛みが出る病気で、話すのもつらいという患者さんがいれば、ひどくなると食事ができないという患者さんもいらっしゃいます。現状は、理解が進んでいる段階といったほうがいいでしょうね。最近でこそマスコミで取り上げてもらうようになってきましたが、まだこれからの分野です。
     私が歯科医師の国家試験を受けた当時、歯科医といえば虫歯を治して詰めたり被せたりする、あるいは歯槽膿漏を治すというような治療がほとんどを占める時代で、顎の痛みなどはテキストでも数行程度しか触れられていませんでした。それは原因や治療法がよくわかっていなかったからです。実際、顎の痛みを訴える患者さんの診療は整形外科が受け持つことも多かったのです。
     

    ー そのころは顎関節症に対してどのような治療をしていたのでしょうか。

      当時は「噛み合わせ」が悪いことが顎関節症の原因であろうといわれ、もっぱらその治療に注力していました。私が大学を卒業して大学院へ行ってから10年ほどは、こうした従来のやり方で治療していましたね。ところが、その治療で痛みが取れるのは患者さんの3~5割ぐらいで、あまり“打率”が良くなかったのです。当時の歯科医は「噛み合わせ」を治すこと以外に治療のコマをほとんど持っていなかった。こうなると他の方向を模索するしかなくなり…治療法の再検討に入ったのが2000年ぐらいのことだったと思います。
     そんな状況のなか、「噛み合わせ」の治療で痛みが取れなかった患者さんから、マッサージや整体、カイロプラクティックなどにかかると痛みがラクになった気がするという声を聞くようになったんです。また海外からは筋肉や靭帯など、いわゆる柔らかい組織の問題が原因ではないかという説も入ってきて、それならばこれを医学的に追究したいという気持ちが自分の中で強くなっていきました。もともと、わからないことは徹底的に調べて解明しないと気がすまない質で、今思えばそれが顎関節症をテーマに究めたいというモチベーションにつながったのかもしれません。
     同時にそのころ、2001年あたりから大学の機構改革が進んだことも影響していると思います。
     


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